通信制高校に入ろうか考えるときに、偏差値が気になることもあるもの。ただ、通信制高校は普通の高校(全日制)と仕組みが違い、実は偏差値もありません。大学受験に向けた勉強をすれば、偏差値の高い大学へ行くことはできます。
通信制高校には公立・私立とも、偏差値はない。高い・低いのランキングもなし
通信制高校に、偏差値はありません。
通信制高校は一般的な高校(全日制高校)のように、入試がありません。入学するために書類選考・面接・作文はあるものの、点数をつけられるわけではないため、偏差値を計算できないのです。
また、通信制高校は「全日制が合わない」「友達や先生との関係が上手くいかなかった」など、何らかの事情から入学する生徒さんも多いです。こうした人に配慮する意味でも、偏差値でのランク付けはありません。
全日制高校は「神奈川県 公立高校ランキング」のようなランキングがあり、参考になることもあります。通信制高校も公立・私立がありますが、偏差値が高い・低いといったランキングはありません。
学校を選ぶときに偏差値が目安になることもありますが、通信制高校を選ぶときは偏差値ではなく、「学校の学習スタイルが自分に合いそうか」「その学校で、やりたいことや学びたいことができそうか」を基準にすると良いです。
(参考)通信制高校の選び方:ベストな学校を選ぶための6ステップと確認するポイント
同年代の人から「通信制高校だから偏差値が低い」のように見られることもまずない
通信制高校に在籍しているからといって、同年代の人から「偏差値が低い」と見られることもまずありません。特に最近は、さまざまな価値観が認められる時代。ほとんどの場合、「そういう選択もあるよね」と思われるくらいです。
通信制高校からでも大学には進学できますが、大学に入ってから「高校は通信制だったんだ」と話しても、特に偏見をもたれることはないはず。同じ大学にいるのだから、出身高校や高校時代の偏差値をどう言っても過ぎたことです。偏見をもつ人がいたら、こちらから逆に距離を置きましょう。
ただ、50代や60代など、年齢の高い人からすると、通信制高校は少し特殊な選択に見えるかもしれません。通信制高校を考えるということは、何か理由があったはず。「こういう考えで、通信制高校に入った」と伝えれば、多くの場合は理解してもらえます。
通信制高校でも、偏差値の高い大学に行くことはできる。ただし通信制高校の自宅学習だけで大学入試に対応するのは難しく、追加の勉強が必要
偏差値が気になるなら、大学受験で挽回することもできます。
大学受験は一般入試なら、高校受験のように内申点が大きく影響することはありません。推薦入試やAO入試(高校時代の活動を大学にアピールする入試)は内申点が関係するものの、一般入試は共通テストや大学が実施する入学試験で合否が決まります。
つまり通信制高校で勉強を頑張れば、偏差値の高い大学に合格することもできます。MARCH・関関同立・早慶上理や、旧帝大(東大・京大・阪大・北大・東北大・名大・九大)などに入ることも可能で、入学後に出身高校で何か変わることはありません。
ですが実際のところ、通信制高校から偏差値の高い大学に入るのは、相当に難しいです。
通信制高校での学習はさまざまな学力の生徒さんがついていけるよう、高校内容の基礎が中心。英語や数学などの大学入試は、通信制高校のテストとはレベルがかなり違います。自分で追加の勉強をする必要は、どうしてもあります。
公立の 通信制高校 |
私立の 通信制高校 |
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卒業後の進路 | 大学(短大含む):11.2% 専門:11.7% 就職:21.9% その他:55.2% |
大学(短大含む):19.1% 専門:23.3% 就職:19.2% その他:38.4% |
ちなみに通信制高校から大学(短大含む)に進学する人は2021年のデータで、公立の通信制高校から全体の11.2%、私立の通信制高校から全体の19.1%となっています(参考:文部科学省「高等学校通信教育の現状について(令和2年)」)。
この数字だけを見ると、「通信制高校から大学に行く人って、めちゃくちゃ少ないじゃん」と感じるかもしれません。ですが通信制高校に入る人は、そもそも大学進学ではなく就職や専門学校を考える人も多いです。「大学に進学したい」という気持ちのある人だけで考えれば、進学率はもっと高いはずです。
大学に進学しやすいのは、公立より私立の通信制高校。偏差値40〜50くらいの大学なら可能性は十分あり、指定校推薦の枠や、公募推薦・AO入試対策のサポートがある学校も多い
普通の高校(全日制)では、公立・私立とも人気。通信制高校の場合、「公立は学費が安いものの、大学受験に向けたサポート体制はイマイチ。私立は全日制に比べてそこまで学費が高くなく、サポートがしっかりしている」ということで、私立が人気です。
公立の 通信制高校 |
私立の 通信制高校 |
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学校数 | 78校 | 175校 |
生徒数 (令和元年5月1日時点) |
56,373人 | 141,323人 |
上でも紹介した文部科学省のデータを見ても、公立より私立のほうが学校の数・生徒数とも多いです。
もちろん学校が多いほど生徒数も増えるのは当然ですが、通信制高校は私立でも年間10万円ほどで入れる学校が多く、スタッフに質問や相談ができる体制も整っているため人気。学校によっては指定校推薦の枠がたくさんあったり、公募推薦・AO入試対策のサポートに力を入れている学校もあります。
公立の通信制高校は学費が年間3〜5万円ほどの学校も多く、安さで考えるなら良いです。ただ、基本は自分で勉強を進める必要があり、質問・相談などの体制は薄め、大学入試の対策や進路相談などもできないことが多いです。学費の安さだけでなく将来のことを考えると、私立もおすすめです。
【指定校推薦の枠が多い、主な通信制高校(全て私立)】
- NHK学園高等学校
- クラーク記念国際高等学校
- ルネサンス高等学校
- 駿台甲府高等学校
【追加費用はかかるけれど大学進学に強い、主な通信制高校(全て私立)】
- 屋久島おおぞら高等学校(「スタンダード学科」または「アドバンス学科」に入る必要あり)
- 精華学園高等学校(「進学個別指導コース」に入る必要あり)
- 鹿島学園高等学校・鹿島朝日高等学校(受験に強いサポート校「トライ式高等学院」に入る必要あり)
- 日本航空高等学校(受験に強いサポート校「トライ式高等学院」に入る必要あり)
- ルネサンス高等学校(受験に強いサポート校「トライ式高等学院」に入る必要あり)
上のように私立の通信制高校は、大学進学に力を入れている学校が多いです。指定校推薦を狙うなら枠が多い学校を、一般入試を受けるなら、英語や数学などをしっかり教えてくれる学校を選びましょう。通信制高校は全国の都道府県にキャンパス(学習センター)を設置しているため、住んでいる場所の近くにキャンパスがある通信制高校を選ぶと良いです。
(参考)通信制高校をエリアで探す!
上で挙げている通信制高校なら、きちんと勉強すれば指定校推薦の枠をもらえるチャンスがあったり、公募推薦やAO入試の対策をしてもらえたりします。
狙える大学の偏差値レベルは40〜50くらいが目安ですが、頑張り次第ではより上のレベルも入れます。受験対策をしてもらう場合は専用のコースに入る必要があり、追加の費用はかかるため(学校や内容によるが、年間50〜100万円ほど)、家族で相談しましょう。
通信制高校から偏差値60以上の私立大学や国公立大学に進学するのは、かなりハードル高い
通信制高校から偏差値60以上の私立大学や国公立大学も、勉強さえすれば狙えます。ただし相当に高いハードルで、これは通信制高校の「自由な時間が多い」ということが関係しています。
「自由な時間が多いほど勉強に使える時間も多く、大学進学に有利なのでは?」と思うかもしれません。ただ、自分で学習計画を立てて、それを元に毎日勉強できる人は、なかなかいません。「自分ならできる」と最初は思っても、いざ勉強を始めると続かないことはよくあるのです。
全日制の高校は毎日の授業があり、課題やテストも定期的にあります。面倒に感じるかもしれませんが、強制されることで勉強せざるを得ず、自然と必要な学力が身につくことになります。もちろんテストなどが終わると一気に忘れやすいですが、覚えている知識もあるはずです。
通信制高校で偏差値の高い大学を目指すには、「高い自己管理能力」が求められます。これは大学入学後や社会に出てからも役立つため、ぜひ身につけておくと良いですが、途中で挫折しないよう注意する必要があります。
ただ、自分で勉強しようとしてできなくても、トライ式高等学院のような大学受験に強いサポート校や、予備校などを利用することもできます。まずは自分で勉強してみて、難しい場合はこうした場所を利用するのも良いでしょう。
通信制高校に偏差値はないけれど、大学進学を考えるなら大学の偏差値は参考に
通信制高校へ入る場合、偏差値は関係ありません。試験はあるものの書類選考・面接・作文で合否が決まり、大きな問題がなければだいたい受かります。大学進学を考えるなら大学の偏差値は参考になるため、通信制高校での勉強を頑張りましょう。
通信制高校での勉強は基本的に自主学習で、自己管理が大切です。偏差値レベルの高い大学に合格するのは大変ですが、それは全日制でも同じではあります。あまり偏差値だけにこだわりすぎるのは良くありませんが、大学受験を頑張るなら受験指導に力を入れている通信制高校を選ぶのもおすすめです。
なお、通信制高校やサポート校は、しっかり選びたいもの。入学するとなかなか変えられないため、まずは資料や案内パンフレットをチェックしてみるのがおすすめです。
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