通信制高校について調べていると、「スクーリング」という言葉を見かけることがよくあります。
スクーリングは学校へ登校して勉強することで、自宅学習が中心の通信制高校でも必要となっています。
ここではスクーリングがどんなものなのか、内容や知っておくべきことを解説します。
スクーリングとは「学校へ登校して授業を受けること」。単位を取るために必要
通信制高校は、自宅での学習が中心。ただ、全ての勉強を家でできるわけではなく、ときどき学校(キャンパス)に行って授業を受ける必要があります。これを「スクーリング」といい、「面接指導」と呼ぶこともあります。
通信制高校を卒業するには、次の3つの要件があります。
【通信制高校の卒業要件】
- 通信制高校に3年以上、在籍すること(転入・編入の場合、前の高校の期間も含む)
- 74単位以上を取ること
- 「特別活動(ホームルーム・修学旅行・文化祭など)」で、30単位以上を取ること
要件の②にある通り、通信制高校は74単位の取得が必要。1単位を取るためには「レポート」と「スクーリング」の2つをこなす必要があり、レポートの提出回数、スクーリングの時間は科目によって違います。
どの科目でレポートを何回出す必要があるのか、スクーリングにどれくらい行く必要があるのかは、文部科学省の「高等学校学習指導要領」という資料で確認できます。2021年の例をあげると、下のようになっています。
※スクーリングの1単位時間=50分
教科・科目 | レポート | スクーリング |
---|---|---|
国語・地理歴史・公民・数学 | 3回 | 1単位時間 |
理科 | 3回 | 4単位時間 |
体育 | 1回 | 5単位時間 |
保険 | 3回 | 1単位時間 |
家庭・情報 | 2〜3回 | 2〜8単位時間 |
通信制高校は、どの科目を勉強するか選ぶことができます。たとえば理科は1単位を取るのに必要なスクーリングが4単位時間(50分×4)と多めですが、国語や数学は1単位時間(50分)でOK。
選ぶ科目によってスクーリングの回数や時間が変わるため、通信制高校のスタッフにも相談しながら決めると良いです。
また、スクーリングは74単位を取るために参加する必要がありますが、卒業要件の③にある、特別活動の単位を取るためでもあります。スクーリングへ行ったときにホームルームなどがあり、特別活動の単位を取ることができます。
スクーリングの1日の例。「朝〜お昼すぎ」「午後〜夕方」のような授業が多い
全日制の高校では朝の9時ごろから授業が始まり、16時ごろに終わるのが一般的。
通信制高校のスクーリングは全日制に比べると短めで、「10時ごろから授業〜14時ごろに終わり」「13時ごろから授業〜16時ごろに終わり」のような形式が多いです。
例1:「朝〜お昼すぎ」でのスクーリング例
1限(9:30~10:15):HR
2限(10:25~11:10):数学Ⅰ
3限(11:20~12:05):生物基礎
4限(12:15~13:00):コミュニケーション英語Ⅱ
例2:「午後〜夕方」でのスクーリング例
5限(13:30~14:15):数学Ⅱ
6限(14:25~15:10):化学基礎
7限(15:20~16:05):世界史B
スクーリングは上のような時間割で行われ、全日制の高校に比べると勉強する内容も基本的。無理なく学べるようになっています。
スクーリングの回数・形式は、通信制高校によって違う。少ない学校だと、年に数日だけ
通信制高校に入学するきっかけや理由は、人によってさまざま。場合によっては、「人と話すのが、すごく苦手なんだけど・・」ということもあると思います。
通信制高校ではスクーリングの回数や形式を選べるようになっていて、週1〜5日・年に数回のように分かれています。
「通信制でも友達を作りたい、全日制と同じように学生生活をしたい」という場合はスクーリングの日数を多めにすれば良いですし、なるべくスクーリングを避けたいなら年に数日のコースを選べば良いです。
人気の通信制高校である「ルネサンス高校」は、スクーリングの登校日数がなんと年4日だけ。これくらいなら、人と接するのが苦手でも、なんとか頑張って乗り切りやすいはずです。
また、スクーリングは形式も通信制高校によって違い、大きく3パターンあります。
【スクーリングの形式】
- 通学型(週1〜5日)
- 集中型(年に数日)
- 合宿型(年に数日)
通学型:週に1〜5日、全日制のように学校へ通うスタイル
通学型は普通の高校(全日制)と同じように、学校へ毎週行って授業を受けるスタイル。先生にすぐ質問できるため、勉強もしやすいです。
「通信制で学びたいけど、全日制のような授業で学びたい」「友達を作りたい」「しっかり勉強したい」という場合、この形式が向いています。
週に授業を何日受けるかは選ぶことができ、週1〜5日の中で自由に決められます。
集中型:年に数日の登校で単位を取得!なるべく学校へ行きたくない人におすすめ
なるべくスクーリングを少なくしたいなら、集中型。月に1〜3日や年に数日くらいの登校で良いため、この日だけ乗り切れば、あとは自由に勉強できます。
学校への通学は、交通費や通学の時間がかかります。集中型のスクーリングなら費用や時間をムダにすることなく、必要なことに使えます。
合宿型:年に数日のみ。海や山の自然に触れながら勉強できる
通信制高校によっては、スクーリングを合宿形式で行っていることもあります。
合宿スクーリングは、校舎ではなく自然豊かな場所で行われるのが一般的。海の近くや山で過ごすと気持ちをリフレッシュでき、自分自身を見つめるきっかけになることも。また、同じ時間を過ごすことで一緒に参加する人とも仲良くなれるため、良い思い出になることも多いです。
学校によっては学費に加えて追加費用がかかることもありますが、興味がわいたら考えて見るのもおすすめです。
スクーリングなしの通信制高校はない。行きたくない場合やつらい場合でも、欠席すると単位が取れなくなることも
「スクーリング、行きたくないなあ・・。つらいし、休もうかな?」
回数を少なくすれば年に数日ほどのスクーリングですが、上のように感じる人もいます。
ただ、完全にスクーリングなしの通信制高校はなく、最低でも年に数日は学校に登校する必要があります。
スクーリングを欠席すると単純に単位を取れず、場合によっては3年での卒業ができなくなってしまいます。そのため、できる限り参加しましょう。
ちなみにスクーリングは、それほど大変なものではないです。「単位のために必要だから、とりあえず行かないとな」くらいのテンションで行けば問題なく、授業もそれほど難しい内容は行われません。スクーリングでテストがある場合も、普段あまり勉強していなくても点数を取れることがほとんどです。
ただ、「体調不良になってしまった」「不登校の経験があり、気持ち的にどうしても行けない」などの正当な理由がある場合、映像授業などでの学習で対応してもらえる場合もあります。どうしてもスクーリングの参加が難しいときは、通信制高校に相談してみましょう。
スクーリングの費用は、通信制高校の年間学費に含まれている(交通費は別)
スクーリングの費用は、通信制高校の年間学費に含まれていることが多いです。校舎へ行くためにかかる交通費は必要ですが、その他の追加費用はかかりません。
通信制高校の学費は、公立で年間3万円ほど、私立で年間10〜20万円ほど。
通信制高校は自主学習が中心で、つい勉強をサボってしまうことがあります。私立の通信制高校は全日制の私立高校に比べると学費がそれほど高くなく、スタッフによる面談や学習指導のサポートが整っているので公立よりおすすめです。
その他、スクーリングについて知っておくべきポイント
スクーリングの主な内容は以上ですが、その他の細かな点も確認しておくと良いです。
スクーリングで友達を作るかは、人それぞれ。ただ受けるだけでも大丈夫
スクーリングでは、無理に友達を作る必要はありません。一緒に授業を受ける人と仲良くなっても良いですし、ただ授業を受けてさっと帰るのもOK。
通信制高校は人それぞれで勉強や生活のスタイルが違うため、周りの人に合わせなくても大丈夫です。「周りに友達を作っている人がいるのに、自分だけ友達ができないのは気まずい・・」という場合は、スクーリングの日数をなるべく減らすと良いです。
スクーリングに行くときの服装は自由。私服でOK
スクーリングに行くときの服装は、特に決まっていません。私服で大丈夫です。
スクーリングの持ち物も、前もってチェック。入学する通信制高校でも確認を
スクーリングの持ち物は、通信制高校でスクーリングの日が近づいてくると連絡があります。ただ、多くの学校で必要になるものを知っておくとスムーズです。
【スクーリングで必要になる、主な持ち物】
- 交通費
- お茶などの飲み物
- 筆記用具(鉛筆・シャープペン・ボールペンなど)
- 出席票
- 時間割
- 教科書・レポート
- 学生証
- 羽織れるもの
- スマホ・携帯電話
通信制高校に入るなら、スクーリングは大切!入学する学校でも確認・相談を
通信制高校に入る場合、スクーリングはとても大切。単位を取るために大きく関係するため、入学を考えている学校でも確認・相談をしておくと良いです。
ちなみにスクーリングは「めんどくさい」と思う人が多いものの、友達ができるきっかけになることもあります。どうしても人と接するのが苦手なら無理に増やす必要はありませんが、せっかくならスクーリングも有効活用して、通信制高校での生活を充実させてくださいね。