通信制高校の学費は、「就学支援金(しゅうがくしえんきん)」という国の制度を利用することで割引きしてもらえます。就学支援金を使えば私立でも年間10万円ほどの学費となり、かなり利用しやすくなります。
就学支援金は入学する通信制高校から案内がありますが、前もって制度の内容を知っておくとスムーズ。ここでは就学支援金について、詳しい内容を解説します。
(参考)
文部科学省:就学支援金に関するQ&A
文部科学省:就学支援金の支給期間・支給限度額一覧
就学支援金は、通信制高校の学費が割引きになる制度(サポート校は対象外)
就学支援金の正しい名称は「高等学校等 就学支援金」。とても長いため、就学支援金と呼ぶことが多いです。
高校は全日制・定時制・通信制と分かれていますが、これら全ての高校で学費を割引きしてもらえます。
ただし、通信制高校と合わせて利用する人も多い「サポート校」は対象外。
サポート校は高卒資格を取れる「高校」ではなく、通信制高校の勉強・学生生活をサポートしてくれる塾のような存在。そのためサポート校の費用は、全額かかることになります。
就学支援金の割引き額(支給額)は、「公立・私立」と「両親の年収」で決まる。年収は毎年確認がある
通信制高校の場合、就学支援金での割引き額は、
「公立か私立か」と「親御さんの年収(父母の合計)」
で決まります。
公立の通信制高校の場合、就学支援金による割引き額はそこまで大きくなく、下のようになっています。
【(公立の通信制高校)就学支援金による割引き額】
高校の授業料が 定額制 |
高校の授業料が 単位制 |
---|---|
月520円 | 月336円 |
ただ、通信制高校は、私立の学校に入学する人も多いです。
就学支援金を利用すれば、通信制高校は私立でも年間10万円ほどから入れるため、学費を安く抑えられます。
【(私立の通信制高校)就学支援金による割引き額】
親御さんの年収 | 就学支援金の割引き額 |
---|---|
年収590万円未満 | 1単位:12,030 円 (例)25単位:300,750円 |
年収590万円以上〜910万円未満 | 1単位:4,812円 (例)25単位:120,300円 |
年収910万円以上 | 0円 |
ちなみに就学支援金の説明を読んでいると、「支給額」という言葉がよく出てきます。支給額はここでいう「割引き額」のことで、「支給される就学支援金の額」です。少しわかりにくいため、ここでは割引き額としています。
ちなみに親御さんの年収は毎年、確認があります。1年生は4月と7月の2回、2年生・3年生は7月に1回あり、毎年6月ごろに決まる「地方住民税」という税金の情報を元に確認されます。もし年収が大きく変わる場合、就学支援金の割引き額も変わる可能性があります。
一部、就学支援金の対象とならない場合がある
就学支援金はお子さんが通信制高校に入学する、多くのご家庭で利用できます。ただ、一部のご家庭は割引きされないため、対象外となる場合を確認しておきましょう。
【就学支援金の対象外となる場合】
- 親御さんの年収が910万円以上の場合
- すでに高校を卒業・修了した人
- 通信制高校に4年を超えて在学している人
すでに高校を卒業していたり、通信制高校に4年を超えて在学している場合は少ないため、「親御さんの年収が910万円以上だと、割引きはない」と考えておけば良いです。
就学支援金で割引きされるのは「授業料」!設備費・教材費などはかかり、年間学費はゼロではない
就学支援金で割引きされるのは「授業料」ですが、通信制高校でかかる費用はほかにもあり、ゼロにはなりません。
ここでは、学費が安い通信制高校のひとつである「鹿島学園高等学校(鹿島学園高校)」を例にしてみます。
【鹿島学園高等学校の年間学費】
内訳 | 世帯年収590万円以上 〜910万円未満の場合 |
世帯年収590万円未満 の場合 |
---|---|---|
授業料 | 1単位7,000円×25単位 =175,000円 |
1単位7,000円×25単位 =175,000円 |
就学支援金による 授業料の割引き |
割引4,812 円×25単位 =ー120,300円 |
割引12,030円×25単位 =ー300,750円 |
施設費 | 24,000円 | 24,000円 |
教育拡充費 | 17,000円 | 17,000円 |
合計 | 95,700円 | 41,000円 (授業料はゼロ円) |
通信制高校は「単位制」で、3年間のうちに74単位を取ると卒業できる仕組み。1年間で25単位を取るとして計算すると、上のようになります。
親御さんの年収が590万円以上〜910万円未満の場合、年間の学費は10万円ほど。かなり安くて利用しやすいです。
親御さんの年収が590万円未満の場合、就学支援金の割引きは1単位あたり12,030円で、25単位分で計算すると300,750円の割引きになります。ただ、これはあくまでも「授業料」から差し引かれ、施設費や教育拡充費は割引きされません。
つまりこの場合、授業料はゼロ円になり、施設費・教育拡充費の合計41,000円が年間の学費になります。
このように、就学支援金の割引きは魅力ですが、授業料の以外の費用があるため学費ゼロ円にはならないことに気をつけてください。
就学支援金の手続きには、書類の準備が必要。入学する通信制高校から案内がある
就学支援金は申込みが必要で、準備する書類があります。入学する通信制高校から案内があるはずですが、前もってどんなものが必要なのか確認しておきましょう。
【就学支援金の必要書類】
- 申請書(通信制高校が用意してくれる)
- マイナンバーカードのコピー
- 課税証明書など、収入を証明する書類
(市役所などの役場で取れる。親御さんの免許証・印鑑などが必要)
基本は申請書とマイナンバーカードがあれば、就学支援金の手続きができます。
ただ、マイナンバーカードがない場合や学校によっては、収入を証明する書類として課税証明書という書類が必要になる場合があります。
課税証明書は市役所や区役所などの市町村役場で取得でき、親御さんの免許証や印鑑が必要になります。前もって市町村役場に電話などで確認してから向かうとスムーズです。
就学支援金は家庭に振り込まれず、割引き額が差し引かれた授業料を支払うのが基本
就学支援金は基本的にご家庭には振り込まれず、割引きされた学費を払うのが一般的。ただし学校によっては、先に割引き前の学費を払い、その後に就学支援金を振り込んでもらう場合もあります。
ここは通信制高校によって違うため、スタッフに学費を説明してもらうときに確認しておきましょう。振込日や「いつ振り込まれるのか」のような確認も、入学する通信制高校に聞くと良いです。
就学支援金は通信制高校に入るなら、必ず活用するべき制度!
就学支援金は通信制高校の授業料が割引きされ、学費を大きく節約できます。多くのご家庭が利用できるため、制度の内容や必要な書類をしっかり確認しておきましょう。
通信制高校に入学するときには、手続きがあります。このときにスタッフが就学支援金についても案内してくれるため、説明に沿って書類や申込みの準備を進めましょう。スタッフに確認しながら手続きをすれば、つまずくことなく適用してもらえるはずです。